AMD CPU Ryzen (ライゼン)とは

AMD Ryzen 5 5600 BOXパソコン
AMD Ryzen 5 5600 BOX

AMD CPU Ryzen (ライゼン)とは

Ryzen (ライゼン)とは、AMDのZenと呼ぶ基本アーキテクチャ(動作・設計)を採用したCPUの名称。
CPUのシリーズ名(ブランド名)。
Zenは基本アーキテクチャのコード名。
基本アーキテクチャは、一般に「マイクロアーキテクチャ」とも呼ばれます。
混乱しがちですが、「Ryzen」も「Zen」も同じCPUを指します。
Zenにはバージョンがありますが、Ryzenはその総称ですからバージョンはありません。ただし、「シリーズ番号」があります。
「Ryzen 5000シリーズ」とか「Ryzen 7000シリーズ」等です。
この「シリーズ番号」は、Zenのバージョンと製造プロセスのペア(組み合わせ)を示します。
例えば、「Ryzen 7000シリーズ」は、Zen 4アーキテクチャで5nm FinFETプロセス(Raphael:ラファエル)製造のデスクトップ向けCPUになります。
【整理点】
製造プロセスにはコード名があります。Zenは製造プロセスと共に大きく見直されます。
大きく見直される事でZenにはバージョンがあります。
Zenのバージョンと製造プロセスの組み合わせでRyzenのシリーズ番号が付与されます。

Zen マイクロアーキテクチャ

マイクロアーキテクチャはプロセッサ(CPU)の回路的な構造のこと。
Zen以前はBulldozer(ブルドーザー)と呼ばれるマイクロアーキテクチャでした。
Bulldozer(ブルドーザー)は、2011年製造開始。2015年に第4世代まで開発され、2017年3月にRyzenが発表されています。
Wikipedia Bulldozer(マイクロアーキテクチャ)
Wikipedia Zen(マイクロアーキテクチャ)
Bulldozer(ブルドーザー)は、消費電力に対する性能を大幅にアップするアプローチ(*1)がされました。
Zen(ゼン)は、コアあたりのパフォーマンスをアップするようにゼロから開発され、IPC(クロックあたりの命令実行数)は大幅にアップされました。
*1
投機的実行を少なくし、無駄な処理(消費電力)を抑える・・・みたいな。
投機的実行は、とりあえず処理をしておいて、有効であれば良し。条件分岐で外れてしまえば破棄します。高速化に寄与しますが、無駄になるかもしれない処理を行うので消費電力が増大します。
Pentium 4(2007年終了)では、クロック数を上げるために深いパイプラインを持っていて、このパイプラインを埋めるために投機的実行がされました(NetBurstマイクロアーキテクチャ)。それでいて、消費電力の増大の割りに性能はそれほど(期待されるほど)向上しなかったという事があります。

製造プロセスとマイクロアーキテクチャの関連性

CPUは製品としてターゲットとする消費電力があります。
この消費電力内で納める半導体(トランジスタ)数が決まります。
この決められたトランジスタ数でどのように設計するかでCPUの特徴が決まります。
基本設計の変更、改良によって、例えば、10サイクルで1つの処理が完了していた命令が、3サイクルで終了するようになるなど、処理スピードに関わる改善がされていきますので、新しいものほど処理能力は高まります。

CPU (半導体)の製造プロセス について

7nmとか、14nmとかは、プロセスの最小加工寸法を示しています。
7nmとあれば、最小加工寸法が7nmで製造できる設備で製造を行なっている、というような意味になります。
1 nmは、0.000001 mm( 0.001 µm)
です。
この最小加工寸法が小さければ小さいほど、同一面積にのせられる半導体の数は増やせます。
逆に半導体の数が同じであればチップ面積を縮小させる事ができます。
また、半導体が小さくなれば、駆動させる電力(電圧)も下げられるので、同じ電力(電圧)量で多くの半導体を実装させることができるようになります。
ex.
同じ半導体数であれば、小さく軽く作れる。一つ一つの部品(トランジスタ)の使用電力量が小さくなるので、全体の使用電力量を減らせる。
ex.
同じチップ面積であれば、より多くの部品(トランジスタ)を載せられる。

SEMI イラストでわかる半導体製造工程
wikipedia 半導体デバイス製造

マイクロアーキテクチャからみると

マイクロアーキテクチャが同じであれば、製造プロセスをより小さいものにすることで低消費電力型にできます。デスクトップ版CPUをTDPに制約のあるモバイル版へできます。
もしくは、製造プロセスをより小さくすることで、同一電力の設計内で半導体の数を増やせますので、マイクロアーキテクチャをよりリッチなものに改良していくことができます。
製造プロセスの縮小とともにZenのバージョンも上がっていく理由です。

Ryzen 製造プロセス コード名 デスクトップ

資料:Wikipedia Ryzen (一次資料としての案内)

発表時期Zenバージョン世代製造プロセス コード名
2022年8月Zen 4第5世代Raphael(ラファエル)
2020年10月Zen 3第4世代Vermeer(フェルメール)
2019年5月Zen 2第3世代Matisse(マティス)
2018年4月Zen+第2世代Pinnacle Ridge(ピナクル・リッジ)
2017年3月Zen第1世代Summit Ridge(サミット・リッジ)

Ryzen 5000シリーズ 6000シリーズは、主にZen 3のVermeer(フェルメール)。
Ryzen 7000シリーズ以降は、Zen4のRaphael(ラファエル)になります。

風の噂には聞いてましたが、5nmの世界なんですね。テクノロジは十分、魔法じみている。

最近の開発コードネームは、画家の名前。
固有名詞は日本人には読みづらい。・・・自分だけかな。
第5世代の開発コードがRaphael。
「ラファエロ」と呼んでましたが、ラファエロならRaffaello(リンク先はWikipediaの「ラファエロ・サンティ」)でスペルが違います。
日本語で「ラファエル」と読めば、「ミカエル」「ガブリエル」と並ぶ三大天使の名前。
画家の名前で来たんじゃないのかい・・・と調べたら、「ラファエロ」の英語版ではどういうわけか「Raphael」でインデックスされています。日本語版を読むと、イギリスではラファエルと呼ばれるのが一般的である。とありました。
等と言いつつ、次の開発コードが「ミカエル」とか「ガブリエル」だったりすると恥ずかしいのですが(画家の名前じゃなかったのかい)。

CCD IOD 製造プロセス デスクトップ

Zen、Zen+

CPU、メモリコントローラ、I/Oコントローラなどで1チップのダイ。
CPUが4つで1つのCCX (Core Complex)。
CCXが2つ + メモリコントローラ + I/Oコントローラで1つのCCD。

Zen 2

CPUが4つで1つのCCXはZen、Zen+と同じ(4コア/L3キャッシュ16MB)。
CCXが2つで1つのCCD (CPU Complex Die)。
メモリコントローラ + I/Oコントローラで1つのIOD。
Zen 2では1チップのダイではなく、CCD + IOD という構成になった。
CCDとIODは異なる製造プロセスで作られ、チップレットと呼ばれる技術で1パッケージ化されている。

Zenのバージョン毎のCCD、IOD 製造プロセス

ZenバージョンCCDIOD
Zen 45nm FinFET6nm FinFET
Zen 37nm FinFET12nm
(Globalfoundries)
Zen 27nm FinFET12nm
Zen+12nm FinFET無し
Zen14nm FinFET無し

Zenのバージョン毎のCCD、IOD トランジスタ数

Zen 4でIODの製造プロセスが6nmになった事でトランジスタ数が増加。
IODにGPUが内蔵された。

ZenバージョンCCDIOD
Zen 4約65億約34億
Zen 3約42億約20億9千万
Zen 2約39億約20億9千万
Zen+約48億無し
Zen無し

Zenのバージョン毎のCCD、IOD チップ面積

ZenバージョンCCDIOD
Zen 471 mm²122 mm2
Zen 374 mm2125 mm2
Zen 274 mm2125 mm2
Zen+? mm2無し
Zen無し

Ryzen 製造プロセス コード名 デスクトップ APU

資料:Wikipedia Ryzen
モバイルAPUを出してから、デスクトップAPUを出しています。

2021年4月Zen 3第4世代Cezanne(セザンヌ)7nm FinFET
2020年7月Zen 2第3世代Renoir(ルノワール)7nm FinFET
2019年6月Zen+第2世代Picasso(ピカソ)12nm FinFET
2018年2月Zen第1世代Raven Ridge(レイヴンリッジ) 14nm FinFET

Ryzen 製造プロセス コード名 モバイル APU

資料:Wikipedia Ryzen

2022年1月Zen 3+第4.5世代Rembrandt(レンブラント)6nm FinFET
2021年1月Zen 3第4世代Cezanne(セザンヌ)7nm FinFET
2020年1月Zen 2第3世代Renoir(ルノワール)7nm FinFET
2019年1月Zen+第2世代Picasso(ピカソ)*112nm FinFET
2017年10月Zen第1世代Raven Ridge(レイヴンリッジ) 14nm FinFET

*1:Ryzen 3 3200Uのみ14 nm

Ryzen 7000 シリーズ

アーキテクチャ:Zen 4(IPCが13%向上)
製造プロセス:TSMC 5nm FinFET
CPUソケット:AM5
メモリータイプ:DDR5
IOが6nmプロセスルールで製造されるようになりGPUを内蔵、PCI Express Gen 5対応
CPUの定格最大メモリクロックは、DDR5-5200
(4枚差しの場合、DDR5-3600になる)

DDR5 DDR4 パソコン(PC)用 メモリ 一覧
[チップ規格とモジュール規格と帯域の一覧]

AMD CPU Ryzen 7000シリーズ(ソケット AM5) 比較一覧、違い
[Ryzen7000シリーズCPUのスペック一覧・比較表]

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