このページは、ソケットAM5のAMDチップセット600シリーズの内容になります。
マザーボード選びのベースになる資料です。
AMDチップセット600シリーズは、ソケットAM5のRyzen 7000シリーズ、Ryzen 8000Gシリーズに対応するチップセットです。
以前のソケット AM4対応のチップセットについては、以下をご覧ください。
(Ryzen 5000シリーズCPU以前)
AMDソケット AM4 チップセット 500シリーズ 比較、まとめ、セットするCPU
AMD ソケット AM5 とは (Socket AM5)
ソケットAM5は、AMDのCPUソケット名称。
AM5以前には、AM3+、FM2+、FS1b、AM4とありました。
それぞれのソケット毎に対応するCPUをセットする事になります。
ソケットAM5対応のCPUは、Ryzen(ライゼン) 7000シリーズ、Ryzen 8000GシリーズのCPU(プロセッサー)です。
Socket AM5 1718pin [LGA (Land Grid Array)]
・TDP170Wまでのプロセッサに対応
・DDR5対応(DDR4未対応)
・PCI Express 5.0対応
各ソケット間に互換性はありません。
AMD Chipsets(チップセット) 600シリーズ
AMDチップセット 600シリーズは、
X670E
X670
B650E
B650
A620
がラインナップされています。
メモリがDDR5対応となりました。
もし手元にDDR4メモリがあっても互換性がないので使用できません。
もっとも、ストレージが高速化し、メモリとの速度差が縮まってきたことに対し、DDR5を使用することでメモリの優位性を取り戻したわけなので、大きなアドバンテージとなります。
型番に「E」のつくものとつかないものがありますが、後述のグラフィックス用のバスがPCIe®5.0かPCIe®4.0の違いになります。
PCIe(PCI-Express) グラフィックスとNVMeのサポート
PCIeは、PCI-Expressの略名称。
PCI-Expressは、CPUやチップセットが他のデバイス – グラフィックスボード(グラボ、GPU)やストレージ(m2、SSD等)、その他(サウンドカード等)とデータをやり取りする通路。
以下の値は、「ダイレクト・プロセッサー PCIe」です。
AMD公式 – AMD ソケット AM5 チップセット 仕様
グラフィックス | NVMe | |
X670E | PCIe®5.0 1×16/ 2×8 | PCIe®5.0 1×4 |
X670 | PCIe®4.0 1×16/ 2×8 | PCIe®5.0 1×4 |
B650E | PCIe®5.0 1×16/ 2×8 | PCIe®5.0 1×4 |
B650 | PCIe®4.0 1×16/ 2×8 | PCIe®4.0 1×4 *1 |
A620 | PCIe®4.0 1×16 | PCIe®4.0 1×4 |
チップセット600シリーズから、PCIe®5.0(後述)対応が始まりました。
型番に「E」のつくものがグラフィックス用のバスがPCIe®5.0対応になります。
B650、A620ではグラフィックス用のバスだけではなくNVMeもPCIe®4.0になります。
*1:マザーボードのオプション対応でPCIe®5.0もあります。
グラフィックス・レーン数 – 仕様・比較
グラフィックスとはその名の通り、GPU(Graphics Processing Unit)ボードの接続スペック。
グラフィックボード/ビデオカードは、PCIeスロットと呼ばれるところに刺します。
1×16/ 2×8は、16レーンが1つ or 8レーンが2つの組み合わせ。
レーンは、PCIeの通信経路の1組で、複数を束ねて大量のデータを通信するようになります。
1レーンの通信速度は世代で異なります。
PCIe®5.0:32Gbps
PCIe®4.0:16Gbps
スペック的には以下になります。
仕様 | グラフィックス 最大通信量 | |
X670E | PCIe®5.0 1×16/ 2×8 | 512Gbps x1 or 256Gbps x2 |
X670 | PCIe®4.0 1×16/ 2×8 | 256Gbps x1 or 128Gbps x2 |
B650E | PCIe®5.0 1×16/ 2×8 | 512Gbps x1 or 256Gbps x2 |
B650 | PCIe®4.0 1×16/ 2×8 | 256Gbps x1 or 128Gbps x2 |
A620 | PCIe®4.0 1×16 | 256Gbps x1 |
(PCIe®5.0) 32Gbps X (レーン数)16 = 512
という計算です。
チップセット500シリーズに比べて、チップセット600シリーズは、同等か倍のスペックになります。
「x2」はレーンを分割して、GPU(グラフィックスボード)を2枚動作させる仕様。
NVMe(M.2)は、ストレージ用 データ伝送量 – 仕様・比較
NVMe(Non-Volatile Memory Express)とは、(フラッシュ)ストレージのために最適化された通信プロトコルの名称。
M.2は、SSDの接続端子について定めた規格の名称。
仕様は「1×4」となってますが、対応するPCIe®世代から、以下のようになります。
これは、チップセットの仕様で、マザーボード側で2つ目のM.2を用意することもあります。
仕様 | NVMe 最大通信量 | |
X670E | PCIe®5.0 1×4 | 128Gbps(16000MB/s) x1 |
X670 | PCIe®5.0 1×4 | 128Gbps(16000MB/s) x1 |
B650E | PCIe®5.0 1×4 | 128Gbps(16000MB/s) x1 |
B650 | PCIe®4.0 1×4 *1 | 64Gbps(8000MB/s) x1 |
A620 | PCIe®4.0 1×4 | 64Gbps(8000MB/s) x1 |
bps(bits per second)は、1秒間の伝送レートで、ビット数。
G=ギガ、M=メガは、B=バイト、情報の単位。
bit(ビット)は2進数の1桁。1Byte(バイト)は8ビットとなっています。
1Gbpsは、1000Mbpsなので、128Gbpsは、128000Mbps=(128000/8)=16000MB/sが上限です。
ただし、PCIe®5.0対応のM.2 SSDは、スペックこそPCIe®4.0の64Gbps(8000MB/s)を超えているもののまだまだ伸び代がある状況です。爆熱らしいので寿命も心配。
*1:マザーボードのオプション対応でPCIe®5.0もあります。
PCIe®レーン 数 – 仕様・比較
レーン合計/PCIe® 5.0 (最大) | |
X670E | 44/24 |
X670 | 44/8 |
B650E | 36/24 |
B650 | 36/0 |
A620 | 32/0 |
PCIe® 5.0レーン数は、グラフィックスとNVMeを含みます。
X670Eの場合、PCIe® 5.0レーン数は最大24レーンですが、グラフィックスで16レーン、NVMeで4レーンを使用した場合、残り4レーンとなります。
USB数、SATAポート数 – 仕様・比較
USB 5 Gbps | USB 10 Gbps | USB 20 Gbps | SATAポート | |
X670E | 2 | 12 | 2 | 8 |
X670 | 2 | 12 | 2 | 8 |
B650E | 1 | 6 | 1 | 4 |
B650 | 1 | 6 | 1 | 4 |
A620 | 2 | 2 | – | 4 |
SATA ポートは、または PCIe® 3.0という仕様です。
PCIe®3.0は8Gbpsという通信量になります。
SATAポートは、第3世代の「SATA3」または「SATA6.0」と呼ばれ、HDDやSSDを繋げます。
データ転送速度の理論値は最大6.0Gbpsです。
6000Mbps=750MB/sとなりますが、実効転送速度は600MB/s程度。
ネットワークドライブには申し分ありませんが、パソコン内蔵ストレージには、今となっては遅く感じます。
オーバークロック対応 – 仕様・比較
CPUオーバークロック対応 | DDR5 メモリ オーバークロック対応 | |
X670E | はい | はい |
X670 | はい | はい |
B650E | はい | はい |
B650 | はい | はい |
A620 | いいえ | はい |
オーバークロックして楽しみたい方向け情報。
Ryzen 7000シリーズのCPUの定格最大メモリクロックは、DDR5-5200です。
(4枚差しの場合、DDR5-3600になる)
定格以上のメモリを使う場合はOC(オーバークロック)対応のメモリを使用することになります。
AMD チップセット(Chipset) 600シリーズ まとめ
AMD チップセット600シリーズは、対応CPUがRyzen 7000シリーズ以上となり、Ryzen 7000シリーズのスペックをどれだけ引き出せるかが型番の違いとなります。
これらは以前のAM4ソケットに比べて、DDR5メモリの対応やPCIe®5.0 対応が大きな魅力。
パソコンでCPUだけが高機能化しても、データが供給されなければCPUはアイドル(待ち)になるので、気分的にモヤモヤします。
メモリやストレージが強化されてバランスよくパフォーマンスアップされます。
PCIe®5.0対応のグラボなら、X670E、B650E。
PCIe®4.0までのグラボなら、B650でもOK。
マザーボードメーカーがどんな方向にデザイン(設計)してくるかでも特徴は変わってきますので、自分の欲しいスペックと考え合わせて参考にしてください。
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A620 マザーボードメーカーの最安値グレード比較(AMD ソケットAM5)
[下位グレードから調べるあたりが懐事情を反映しています。
B650までは調べると思います。それ以上は予算を超えるので、多分調べません]
購入検討ページ
いろいろ調べているのは自分の家のPCを自作する為ですが、書き連ねるうちに以下のように増えて(分割)しまいました。ご参考にどうぞ。
自作PC 2024年パーツ選び(計画) 2023年の購入品
自作PC 構成候補 パーツリスト
自作PC パーツ選び プロセッサー(CPU)購入考察 2024年
コメント
グラフィックス・レーン数 – 仕様・比較
のところの表で、
X670 PCIe®5.0 1×16/ 2×8 256Gbps x1 or 128Gbps x2
とありますが、
PCIe 4.0
の間違えではないでしょうか。
とんとん さん
ご指摘の通りです。「E」無しなので、「PCIe®4.0 1×16/ 2×8」が正しいです。
ありがとうございました。